事業再構築補助金:業態転換

中小企業等事業再構築促進事業の業態転換について考察してみたいと思います。
事業再構築補助金については下記を参照ください。
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html

業態転換の定義

業態転換とは、製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更することをいう。

重要なのは

製品等の製造方法等を相当程度変更すること

ということです。

業態転換に該当するために

4要件

1:【製造方法等の新規性要件】業態転換に該当するためには、製品等の製造方法等が新規性を有するものである必要があります。
事業を行う中小企業等にとって、事業による新たな製品の製造方法又は新たな商品若しくはサービスの提供方法が、新規性を有するものであること。

2:【製品の新規性要件】新たな方法で製造される製品が新規性を有するものである必要があります(製品の製造方法を変更する場合に限ります)。
製品の製造方法を変更する場合にあっては、製造される製品が新規性を有するものであること。
※新分野展開と同様。

3:【設備撤去等又はデジタル活用要件】既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等を伴うもの又は非対面化、無人化・省人化、自動化、最適化等に資するデジタル技術の活用を伴うもの(単に汎用性のあるデジタル機器やソフトの利用ではなく、これらを新たな提供方法のために事業に応じてカスタマイズする、改良するなどの工夫が必要)である必要があります。
例えば、単にタブレット端末を利用するだけでは要件を満たさず、新たな提供方法のために事業に応じて、必要なデータベースを整備し、在庫管理等に用いるなどカスタマイズすることが必要です。
上記要件は申請するための最低条件です。先進的なデジタル技術(例えばAI・IoT技術等)を活用する計画を策定することで、審査においてより高い評価を受けることができる場合があります。

4:【売上高10%要件】これらを通じて、3-5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等の製造方法等による売上高が、総売上高の10%以上を占める計画を策定することが必要です。
10%は申請するための最低条件です。
新たな製品の売上高がより大きな割合となる計画を策定することで、審査においてより高い評価を受けることができる場合があります。

※特徴としては、設備撤去等又はデジタル活用要件が重要な要件です。

製造方法等の新規性要件について

製造方法等の新規性要件を満たす4要件

1:過去に同じ方法で製造等していた実績がないこと
過去に製造等していた方法と同じ方法で製品等を製造等することは、事業再構築によって、新たな方法で製品等を製造等しているとはいえません。過去に実績がない方法で製品等を製造等することにチャレンジすることが必要になります。

2:新たな製造方法等に用いる主要な設備を変更すること
既存の設備でも製造等可能な方法で、製品等を製造等することは、事業再構築によって、新たな方法で製品等を製造等しているとはいえません。主要な設備を変更することが新たな方法で製品等を製造等するのに必要であることが要件となります。

3:競合他社の多くが既に製品等を製造等するのに用いている製造方法等ではないこと
競合他社の多くが、既に行っている製造方法等と同じ方法で、製品等を新たに製造等することは容易であると考えられるため、申請に際しては、競合他社の動向を調査し、新たな製造方法が、競合他社の多くにおいて、行われている方法ではないことを示すことが必要となります。

4:定量的に性能又は効能が異なること(製造方法等の性能や効能が定量的に計測できる場合に限る。)
性能や効能の違いを定量的に説明することで、新たな製造方法等が有効であることを示す必要があります。
(例:既存の製造方法と比べ、新たな製造方法の方が、生産効率、燃費効率等がX%向上する等)

※「新規性」とは、事業再構築に取り組む中小企業等自身にとっての新規性であり、世の中における新規性(日本初・世界初)ではありません。

事業転換の要件を考え方

具体例1:サービス業の場合

ヨガ教室を経営していたところ、コロナの影響で顧客が激減し、売上げが低迷していることを受け、サービスの提供方法を変更すべく、店舗での営業を縮小し、オンライン専用のヨガ教室を新たに開始し、オンライン専用のヨガ教室の売上高が、3年間の事業計画期間終了後、総売上高の10%以上を占める計画を策定している場合。

製品等の新規性要件

1:過去に製造等した実績がないこと
過去にオンライン専用のヨガ教室を営んだ実績がない場合には、要件を満たす。

2:製造等に用いる主要な設備を変更すること
オンライン専用のヨガ教室を開始するために、新たに配信機材等を導入する必要があり、その費用がかかる場合には、要件を満たす。

3:競合他社の多くが既に製造等している製品等ではないこと
ヨガ教室を営んでいる競合他社の多くが、オンライン専用のヨガ教室サービスを提供していないことを示すことで要件を満たす。

4:定量的に性能又は効能が異なること

新たに導入した提供方法により、1回当たりの提供コスト等、生産効率がどの程度改善しているか等を示すことで要件を満たす。

製品の新規性要件

1:過去に製造した実績がないこと
製造方法の変更ではないため、製品の新規性要件は不要。

2:主要な設備を変更すること
製造方法の変更ではないため、製品の新規性要件は不要。

3:競合他社の多くが既に製造等している製品等ではないこと
製造方法の変更ではないため、製品の新規性要件は不要。

4:定量的に性能又は効能が異なること
製造方法の変更ではないため、製品の新規性要件は不要。

設備撤去等又はデジタル活用要件

1:既存設備の撤去や既存店舗の縮小等を伴うもの又はデジタル技術を活用した非対面化、無人化・省人化、自動化、最適化等に資するものであること
店舗の営業を縮小するに際して、既存設備を撤去すること又は非対面化や無人化・省人化を図るために、受付、レッスンの受講や個別指導、パーソナルデータの管理を一貫して行うシステムを活用することを示すことで要件を満たす。

売上高構成比要件

1:3-5年間の事業計画期間終了後、新たな製造方法等による売上高が、総売上高の10%以上を占める計画を策定すること
3年間の事業計画期間終了時点において、オンライン専用のヨガ教室の売上高が、総売上高の10%以上となる計画を策定していることで要件を満たす。

具体例2:製造業の場合

健康器具を製造している製造業者が、コロナの感染リスクを抑えつつ、生産性を向上させることを目的として、AI・IoT技術などのデジタル技術を活用して、製造プロセスの省人化を進めるとともに、削減が見込まれるコストを投じてより付加価値の高い健康器具を製造し、新たな製造方法による売上高が、5年間の事業計画期間終了後、総売上高の10%以上を占める計画を策定している場合。

製造方法等の新規性要件

1:過去に同じ方法で製造等していた実績がないこと
過去に、今回導入しようとしているAI・IoT技術などのデジタル技術を活用した省人化による方法で、製品を製造した実績がない場合には、要件を満たす。

2:新たな製造方法等に用いる主要な設備を変更すること
省人化のために、AI・IoT技術などのデジタル技術に関する専用の設備が新たに必要であり、当該設備を導入する場合には、要件を満たす。

3:競合他社の多くが既に製品等を製造等するのに用いている製造方法等ではないこと
同種の健康器具を製造している競合他社の多くが、同種の製造方法によって、製品を製造していないことを示すことで要件を満たす。

4:定量的に性能又は効能が異なること
新たに導入した製造方法により、1個当たりの製造コスト等、生産効率がどの程度改善しているか等を示すことで要件を満たす。

製品の新規性要件

1:過去に製造した実績がないこと
新たに製造する健康器具が、これまでに製造した健康器具と同じ健康器具ではなければ、要件を満たす。

2:主要な設備を変更すること
新たな健康器具を製造するために、既存プロセスのコストを抑えるため、省人化に関するAI・IoT技術などのデジタル技術に関する専用の設備が新たに必要であり、当該設備を導入する場合は要件を満たす。

3:競合他社の多くが既に製造等している製品等ではないこと
同種の健康器具を製造している競合他社の多くが、事業再構築を通じて新たに製造しようとしている健康器具と同種の製品を製造していないことを説明することで、要件を満たす。

4:定量的に性能又は効能が異なること
新たに製造する健康器具と既存の健康器具との性能(健康効果等)の違いを説明することで要件を満たす。

設備撤去等又はデジタル活用要件

1:既存設備の撤去や既存店舗の縮小等を伴うもの又はデジタル技術を活用した非対面化、無人化・省人化、自動化、最適化等に資するものであること
提供方法の変更ではないため、設備撤去等又はデジタル活用要件は不要。

売上高構成比要件

1:3-5年間の事業計画期間終了後、新たな製造方法等による売上高が、総売上高の10%以上を占める計画を策定すること
5年間の事業計画期間終了時点において、新たな製造方法で製造した新たな健康器具が、総売上高の10%以上となる計画を策定していることで予定を満たす。

事業転換の非該当例

次の(1)から(4)までのいずれかに該当する場合、製品の製造方法又は商品若しくはサービスの提供方法の新規性を有しないことから業態転換に該当しない。

(1) 製品の既存の製造方法又は商品若しくはサービスの既存の提供方法により、単に製造量又は提供量を増大させる場合
(2) 過去に製品を製造していた方法又は過去に商品若しくはサービスを提供していた方法により、改めて製品を製造し又は商品若しくはサービスを提供する場合
(3) 製品の既存の製造方法又は商品若しくはサービスの既存の提供方法に容易な改変を加えた方法で、製品を製造し又は商品若しくはサービスを提供する場合
(4) 製品の既存の製造方法又は商品若しくはサービスの既存の提供方法を単に組み合わせた方法で、製品を製造し又は商品若しくはサービスを提供する場合

まとめ

業態転換は、製品等の製造方法等を相当程度変更することが必要です。
また、既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等を伴うもの又は非対面化、無人化・省人化、自動化、最適化等に資するデジタル技術の活用を伴うものである必要があります。
withコロナ、afterコロナを意識した事業展開が必要です。
単にタブレット端末を利用するだけでは要件を満たさず、新たな提供方法のために事業に応じて、必要なデータベースを整備し、在庫管理等に用いるなどカスタマイズすることが必要です。
物理的なモノをそろえるだけではなく、その先のシステムとそれを有効に生かす取り組みが必要です。
先を見据えた活動がカギとなります。


関連記事

事業再構築補助金:新分野展開

事業再構築補助金:事業転換

事業再構築補助金:業態転換

事業再構築補助金:事業再編

事業再構築補助金:類型のまとめ

中小企業等事業再構築促進事業

最新情報をチェックしよう!