事業再構築補助金:事業転換

中小企業等事業再構築促進事業の事業転換について考察してみたいと思います。
事業再構築補助金については下記を参照ください。
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html

事業転換の定義

事業転換とは、中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することをいう。

重要なのは

1:主たる業種は変更なし
2:主たる事業は変更する

ということです。

総務省の日本標準産業分類は下記を参照ください。
https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/sangyo/H25index.htm

事業転換に該当するために

3要件

1:【製品等の新規性要件】事業転換に該当するためには、新たな製品等を製造等する必要があります。
事業を行う中小企業等にとって、事業により製造する製品又は提供する商品若しくはサービスが、新規性を有するものであること。
※新分野展開と同様。

2:【市場の新規性要件】事業転換に該当するためには、新たな市場に進出する必要があります。
事業を行う中小企業等にとって、事業により製造する製品又は提供する商品若しくはサービスの属する市場が、新規性を有するものであること。
※新分野展開と同様。

3:【売上高構成比要件】事業転換に該当するためには、3-5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等の属する事業が、売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定することが必要です。
事業計画期間終了後、新たに製造する製品又は新たに提供する商品若しくはサービスを含む事業が、売上高構成比の最も高い事業となることが見込まれるものであること。

※新分野展開とは違い、売上構成比が最も高くなる事業が重要な要件です。

事業転換の要件を考え方

具体例1:飲食サービス業の場合

日本料理店が、換気の徹底によりコロナの感染リスクが低いとされ、足元業績が好調な焼肉店を新たに開業し、3年間の事業計画期間終了時点において、焼肉事業の売上高構成比が、標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画を策定している場合

製品等の新規性要件

1:過去に製造等した実績がないこと
過去に焼肉店を営んだことがなければ、要件を満たす。

2:製造等に用いる主要な設備を変更すること
焼肉店の開業に当たって、新たに卓上備え付けのロースター等の設備や内装の改装などが必要であり、その費用がかかる場合には、要件を満たす。

3:競合他社の多くが既に製造等している製品等ではないこと
日本料理店を営んでいる競合他社の多くが、焼肉店を営んでいないこと

4:定量的に性能又は効能が異なること

日本料理店と焼肉店では、提供する商品が異なり、定量的に性能又は効能を比較することが難しいことを示すことで要件を満たす。

市場の新規性要件

1:既存製品等と新製品等の代替性が低いこと
例えば、大衆向けとして沖縄料理を提供している日本料理店が、高価格帯の商品を提供する焼肉店を始める場合には、異なる顧客のニーズに応えるものであることから、焼肉屋により、日本料理屋の需要が代替され、売上高が減少するといった影響が見込まれないと考えられることを説明することで、要件を満たす。

2:既存製品等と新製品等の顧客層が異なること
ファミリー層向けからカップル向け、大衆向けから高級志向等、ターゲット層の違いとその妥当性を説明することが考えられる。

売上高構成比要件

1:3-5年間の事業計画期間終了後、新たな製品の属する事業が、売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定すること
「日本料理店」と「焼肉店」は、日本標準産業分類の細分類ベースで異なる分類がなされている。
従って、3年間の事業計画期間終了時点において、焼肉事業の売上構成比が、日本標準産業分類細分類ベースで最も高くなる計画を策定していれば、要件を満たすこととなる。

具体例2:製造業の場合

プレス加工用金型を製造している下請事業者が、業績不振を打破するため、これまで培った金属加工技術を用いて、新たに産業用ロボット製造業を開始し、5年間の事業計画期間終了時点において、産業用ロボット製造業の売上高構成比が、日本標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画を策定している場合

製品等の新規性要件

1:過去に製造等した実績がないこと
新たに製造する産業用ロボットが、過去に製造した実績のない部品であれば、要件を満たす。

2:製造等に用いる主要な設備を変更すること
産業用ロボットを製造するため、プレス加工用金型専用の生産設備とは異なる専用の生産設備が新たに必要であり、当該設備を導入する場合には、要件を満たす。

3:競合他社の多くが既に製造等している製品等ではないこと
同種のプレス加工用金型を製造している競合他社の多くが、同種の産業用ロボットを製造していないことを説明することで、要件を満たす。

4:定量的に性能又は効能が異なること
新たに製造する産業用ロボットと従来製造していたプレス加工用金型が異なる製品であれば、定量的に性能又は効能(強度や軽さ等)を比較することが難しいことを示すことで要件を満たす。

市場の新規性要件

1:既存製品等と新製品等の代替性が低いこと
プレス加工用金型と産業用ロボットでは、その用途が全く異なり、産業用ロボットを新たに製造・販売することによって、プレス加工用金型の需要が代替され、売上が減少することは見込まれないと考えられることを説明することで、要件を満たす。

2:既存製品等と新製品等の顧客層が異なること
例えば、異なるニーズを持つ取引先に販売することが考えられる。

売上高構成比要件

1:3-5年間の事業計画期間終了後、新たな製品の属する事業が、売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定すること
「金属用金型製造業」と「ロボット製造業」は、日本標準産業分類の細分類ベースで異なる分類がなされている。
従って、5年間の事業計画期間終了時点において、ロボット製造業の売上構成比が、日本標準産業分類細分類ベースで最も高くなる計画を策定していれば、要件を満たすこととなる。

事業転換の非該当例

例えば、次の1.又は2.に該当する場合、事業転換に該当しない。

1:既存の事業に必要な主な設備等が、新たな事業に必要な主な設備等と変わらない場合
2:事業の前後で売上高構成比の最も高い事業が日本標準産業分類に基づく細分類の単位で変更されない場合

まとめ

事業転換を前提に補助金申請を考える場合は、売上構成比がカギになりそうです。
今後、3-5年で売上構成比が最大になる事業に成長できるか、否か。
業種はそのままですが、事業内容を大きく転換させる必要があります。

新分野展開は、航空機械製造業が医療機械部品分野へ進出し、売上構成比10%以上を策定。
事業転換は、プレス加工用金型製造が産業用ロボット製造業を開始し、売上構成比が最も高くなる計画を策定。

似ているようですが、売上構成が大きく異なります。
どこまでの事業再構築ができるかを見極めることが大切です。


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