令和
2019/10/23
こんにちは、経営支援センターの高浜です。
令和
「万葉集」巻五 梅花謌卅二首并序(梅花の歌 三十二首、并せて序)
《題詞》
梅花歌卅二首[并序]
天平二年正月十三日 萃于帥老之宅 申宴會也
于時初春令月 氣淑風和 梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香
加以 曙嶺移雲 松掛羅而傾盖 夕岫結霧 鳥封?而迷林
庭舞新蝶 空歸故鴈
於是 盖天坐地 促膝飛觴
忘言一室之裏 開衿煙霞之外
淡然自放 快然自足
若非翰苑何以?情
詩紀落梅之篇
古今夫何異矣
宜賦園梅聊成短詠
天平2年の正月の13日、師老(大伴旅人・おおとものたびと)の邸宅(太宰府)に集まって宴会を行った。
折しも、初春の佳き月で、空気は清く澄みわたり、風はやわらかくそよいでいる。梅は佳人の鏡前の白粉のように咲いているし、蘭は貴人の飾り袋の香にように匂っている。
そればかりか、明け方の山の峰には雲が行き来して、松は雲の薄絹をまとって蓋をさしかけたようであり、夕方の山洞には霧が湧き起こり、鳥は霧の帳に閉じこめられながら林に飛び交っている。
庭には春に生まれた蝶がひらひら舞い、空には秋に来た雁が帰って行く。
そこで一同、天を屋根とし、地を座席とし、膝を近づけて盃をめぐらせる。
一座の者みな恍惚として言を忘れ、雲霞の彼方に向かって、胸襟を開く。
心は淡々としてただ自在、思いは快然としてただ満ち足りている。
ああ文筆によるのでなければ、どうしてこの心を述べ尽くすことができよう。
漢詩にも落梅の作がある。
昔も今も何の違いがあろうぞ。
さあ、この園梅を題として、しばし倭の歌を詠むがよい。
「新版 万葉集 一 現代語訳付き (角川ソフィア文庫) 」
改めて、令和の意味を考えて、心に刻みたい。