Column 経営コラム

九州での事業承継

2019/05/09

こんにちは、経営支援センターの高浜です。

梅花(うめのはな)の歌三十二首并せて序
天平二年正月十三日に、師(そち)の老(おきな)の宅(いへ)に萃(あつ)まりて、宴会を申(ひら)く。
時に、初春(しよしゆん)の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風和(やはら)ぎ、梅は鏡前(きやうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香(かう)を薫(かをら)す。
加之(しかのみにあらず)、曙(あけぼの)の嶺に雲移り、松は羅(うすもの)を掛けて蓋(きにがさ)を傾け、夕の岫(くき)に霧結び、鳥はうすものに封(こ)めらえて林に迷(まと)ふ。庭には新蝶(しんてふ)舞ひ、空には故雁(こがん)帰る。
ここに天を蓋(きにがさ)とし、地を座(しきゐ)とし、膝を促(ちかづ)け觴(かづき)を飛ばす。
言(こと)を一室の裏(うら)に忘れ、衿(えり)を煙霞の外に開く。
淡然(たんぜん)と自(みづか)ら放(ひしきまま)にし、快然と自(みづか)ら足る。
若し翰苑(かんゑん)にあらずは、何を以(も)ちてか情(こころ)を述(の)べむ。
詩に落梅の篇を紀(しる)す。
古(いにしへ)と今(いま)とそれ何そ異(こと)ならむ。
宜(よろ)しく園の梅を賦(ふ)して聊(いささ)かに短詠を成すべし。

天平二年正月十三日に、大宰師の大伴旅人の邸宅に集まりて、宴会を開く。
時に、初春の好き月にして、空気はよく風は爽やかに、梅は鏡の前の美女が装う白粉のように開き、蘭は身を飾った香のように薫っている。
のみにあらず、明け方の嶺には雲が移り動き、松は薄絹のような雲を掛けてきぬがさを傾け、山のくぼみには霧がわだかまり、鳥は薄霧に封じ込められて林に迷っている。
庭には蝶が舞ひ、空には年を越した雁が帰ろうと飛んでいる。
ここに天をきぬがさとし、地を座として、膝を近づけ酒を交わす。
人々は言葉を一室の裏に忘れ、胸襟を煙霞の外に開きあっている。
淡然と自らの心のままに振る舞い、快くそれぞれがら満ち足りている。
これを文筆にするのでなければ、どのようにして心を表現しよう。
中国にも多くの落梅の詩がある。いにしへと現在と何の違いがあろう。
よろしく園の梅を詠んでいささの短詠を作ろうではないか。

時は、天平2年、西暦730年春。
九州、大宰府で初春の梅の時期に読まれた32首の序文です。
『事業承継』も次の世代、初春への引継ぎです。
毎年変わることないように、事業も変わることなく、次の世代へと承継されていきます。
事業の精神を引き継ぎ、先代の思いに美しく心を寄せることで、事業がその時代に即し育っていくと考えます。
このような考えのもと、当社は『事業承継』を支援しています。

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