事業所得に計上する収入
2021/03/18
事業の収入
事業所得を計算する際、収入に計上する金額は事業活動から生ずる収入です。
その収入は、商品・製品を販売したときの売上や請負契約により役務を提供したときの請負対価という本来の事業活動による収入だけでなく、事業を行っていくときの付随行為から収受することになる収入も含まれます。
収入金額
法第36条第1項に規定する「収入金額とすべき金額」又は「総収入金額に算入すべき金額」は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない。
とされているので、いわゆる違法に取得した金額も収入金額となります。
違法な商品や、違法な方法で販売したことにより収受した金額も含まれます。
事業所得の総収入金額の収入すべき時期
事業所得の総収入金額の収入すべき時期は、別段の定めがある場合を除き、次の収入金額については、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭49直所2-23改正)
2:棚卸資産の試用販売による収入金額については、相手方が購入の意思を表示した日。ただし、積送又は配置した棚卸資産について、相手方が一定期間内に返送又は拒絶の意思を表示しない限り特約又は慣習によりその販売が確定することとなっている場合には、その期間の満了の日
3:棚卸資産の委託販売による収入金額については、受託者がその委託品を販売した日。ただし、当該委託品についての売上計算書が毎日又は1月を超えない一定期間ごとに送付されている場合において、継続して当該売上計算書が到達した日の属する年分の収入金額としているときは、当該売上計算書の到達の日
4:請負による収入金額については、物の引渡しを要する請負契約にあってはその目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあってはその約した役務の提供を完了した日。ただし、一の契約により多量に請け負った同種の建設工事等についてその引渡量に従い工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合又は1個の建設工事等についてその完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金等を収入する旨の特約若しくは慣習がある場合には、その引き渡した部分に係る収入金額については、その特約又は慣習により相手方に引き渡した日
5:人的役務の提供(請負を除く。)による収入金額については、その人的役務の提供を完了した日。ただし、人的役務の提供による報酬を期間の経過又は役務の提供の程度等に応じて収入する特約又は慣習がある場合におけるその期間の経過又は役務の提供の程度等に対応する報酬については、その特約又は慣習によりその収入すべき事由が生じた日
6:資産(金銭を除く。)の貸付けによる賃貸料でその年に対応するものに係る収入金額については、その年の末日(貸付期間の終了する年にあっては、当該期間の終了する日)
7:金銭の貸付けによる利息又は手形の割引料でその年に対応するものに係る収入金額については、その年の末日(貸付期間の終了する年にあっては、当該期間の終了する日)。ただし、その者が継続して、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日により収入金額に計上している場合には、それぞれ次に掲げる日
イ 利息を天引きして貸し付けたものに係る利息 その契約により定められている貸付元本の返済日
ロ その他の利息 その貸付けに係る契約の内容に応じ、36-5の(1)に掲げる日
ハ 手形の割引料 その手形の満期日(当該満期日前に当該手形を譲渡した場合には、当該譲渡の日)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/01.htm
留意点
2:次の収入は、事業活動を続けていく際に、その付随行為から生じた収入ですから、事業所得となります。
①事業の取引先又は使用人に対して貸し付けた貸付金の利子
②事業用資産の購入に伴って、景品等として受ける金品
③医師・歯科医師が、夜間や日祭日等に診療したとき、地方公共団体等から支払を受ける委嘱料等
④事業用の固定資産に係る固定資産税を納期前に納付したことにより交付を受ける報奨金
3:貸衣装業における衣装類やパチンコ店におけるパチンコ器のように、事業で使用している固定資産であっても、事業の性質上、反復継続して売却してしまうことが通常である場合のその固定資産を売却したときの収入は、事業所得となります。
4:観光地、景勝地、海水浴場等におけるバンガロー等で、季節の終了とともに解体、移設又は格納することができるような、簡易な施設を貸し付けたことによる収入は、事業所得又は雑所得となります。
5:金融業者が、担保権の実行又は代物弁済等により取得した土地や建物、その他機械等の資産を売却し、あるいは、それらの資産を一時的に貸し付けて賃料を収受した場合において、それらの売却代金や賃貸収入を債権の回収に充てた場合には、これらの収入は、金融業から生じた事業所得となります。
まとめ
所得税法上の事業所得になるかどうか、しっかり確認が必要です。
所得税では、収入金額を10種類に分類しています。
それぞれの分類ごとに、収入金額から差し引ける金額等が異なります。
収入金額を正しく分類することが大切です。