コロナ禍の補助金・助成金から見えたもの
2021/03/15
経済産業省中小企業庁経営支援部長村上敬亮氏の対談記事より抜粋と見えてきたこと
対談相手は、佐藤タイジ(ミュージシャン)さんと加藤 梅造(株式会社ロフトプロジェクト代表取締役)さんです。
インタビュー : ジョー横溝
2021年1月21日東京 新宿ロフトにて
持続化給付金で経済産業省が認識したこと
・実は日本の中小企業の約8割の社長さんが自分の会社の月次売上げを知りません
予想はしていましたが、やはりという結果ですね。
持続化給付金をめぐる混乱ぶりから、月次での売上把握ができていないのだろうと想像はしていましたが、経済産業省からみて8割とは。
このような状況で、自社の経営をよくしたいと考えても、本末転倒。
まずは、現状を知ることが大切です。
身長・体重・年齢・性別等をわかっていないのに、洋服を選ぶようなものです。
まずは、しっかり自己を知ることから始めないといけません。
事業再構築補助金
・4月頃から応募を始めて、2か月に1回くらいずつ4~5回公募
・補助金が決まったら10ヶ月か1年以内くらいで使う
事業再構築補助は、
・〝できるだけニュートラルな補助金にして内容は民間で考えてもらう〟
という2つの意味で特異なんです。
こういう補助制度ができるのは本当に珍しいんです。
まさに、有事だからこその補助金ということが明確になりました。
令和3年度は、当然ながらありませんね。
今だから、今しかない、そんな補助金です。
特異な補助金のでは、その本質を理解してしっかり活用しないと。
言い換えると、縦のものを横にぶち抜くっていう話です。
例えば、日本の産業界って自動車業界や家電業界は基本的に縦割りの構造なので、大手メーカーに系列取引している部品屋さんがぶら下がっていて、隣の列にいる他業界で同じような部品を作っていてもお互いほぼ知らない状態なんです。
日本って社内で良い技術を作ることはすごい得意なんですが、〝作った技術をどこに持っていけるか自分で考えて〟と言った途端に、〝どこに持っていけばいいかわかりません〟みたいな状態が長かった。
ただ今後、人口の減る国内マーケットは確実に縮小してくるし、このまま系列的取引にぶら下がっているだけでは厳しくなるのは明白です。
デジタルを使って、これまで違う系列に属していた横同士が組むことで新たなチャンスと可能性を生んでいくことをDXと言っています。横と横が繋がる場合、共通して必要な投資をする時に事業再構築補助金は対象となります。
しかも、束ねられた全体に対してではなく、新たな束ねに向けて動こうとしている1社1社に6,000万円ずつ出ます。
できれば、スイミーのごとく集まって、その集団が一緒に泳いでいく。そのうちに〝大きくなってきたぞ〟みたいな流れが理想型ですね。
そういう1つの方向にもって行ける企画や流れを作って、同じ方向に業界全体が進み、その流れの中で、1社1社が最大6,000万円を使ってくれるようになったらいいなと思っています。
Go Toの結果から見えること
・〝みんな、こんなに旅行してたんだ〟
・地方創生を兼ねて、例えば、温泉エリアに音楽のためにデザインされた〝音楽街〟を作る企画とか考えてみてはどうかと。イメージとしてはアメリカのニューオリンズのバーボンストリートの温泉ヴァージョンの現代版ですかね。その際、街のデジタルシフトに合わせたら面白いんじゃないかなと思います。
こういった、GoToの結果を広く公表してほしいですね。
結果が公表されれば、さまざまな分析に使えるし。
分析の結果、新たな気付き、産業に発展すると思います。
温泉をキーワードに考えると、長崎はまだまだ余白があります。
長崎市近郊はもちろん、全国的には「雲仙」もあるし。
まだまだ、やれること、たくさん、ありそうです。
海外外に比べ補助金が少ない理由
・日本は国内マーケットが他の産業も最低限の収益を上げれてしまっているんです。
・発信のファーストステップになる国内マーケットが日本の場合ある
国内マーケットが強いので、国内産業育成にそこまで補助金が必要ない。
自助の精神が息づいている日本。
やっぱり素晴らしい国です。
国内マーケットの力がない国が、国内産業に補助金をつける。
国を挙げて産業を振興する。
国策会社みたいな感じですね。
日本は、すでにその域を超えて、自律的成長の段階。
だからこその、G7。
コロナ禍
・想像力が強い人にとっては、コロナ禍は、大チャンスです。
・大胆に横を繋ぐのって、平時だったら〝やめろ、そんなもん〟って言って止められるけど、今は止められない。こんなに横の繋がりへのドアが開いている瞬間はないと思います。
コロナ禍をチャンスに、業界の再編が起きると思います。
思いもよらないところから、既存の産業を打ち破る。
そんな時代でしょう。
産業のどちらになるのか。
産業の中でどのように進化するのか。
方向性を、会社のかじ取りをどのようにするのか。
経営者が試される時代ともいえます。
まとめ
世界的危機は、ビジネスの一大チャンス。
これ以上の、ビッグチャンスは、ない時代です。
その波に乗れるのか、乗れないのか、はひとえに経営者にかかっています。
前を見てしっかり、歩を進めることが、最善の方策です。