Column 経営コラム

特別利子補給制度による入金時の処理

2020/12/17

こんにちは、経営支援センターの高浜です。
日本政策金融公庫等の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」、「新型コロナウイルス対策マル経融資」等若しくは商工中金等による「危機対応融資」により借入を行った中小企業者等のうち、売上高が急減した事業者などに対して、最長3年間分の利子相当額を一括で助成されます。
特別利子補給制度の申請書は、8月下旬以降、順次、貸付を行った金融機関等から交付・ 郵送されています。

特別利子補給制度

12月に入り、入金のあった事業者もいらっしゃると思います。
入金額を確認していただきたいのですが、3年分を一括で入金されているはずです。
従って、これまで支払った金額だけでなく、これから支払うであろう金額までが含まれています。
助成対象期間終了後、交付された助成金と実際に支払った利子額に差が生じた場合は、追加交付または助成金の返還により精算することになります。
ですので、特別利子補給対象の借入金の借換には注意が必要です。3年以内に全額返済・借換等を行った場合は、受領した特別利子補給金額を返還することが必要になります。

受取時の処理 

では、受け取った際はどのような処理をすれば良いのでしょうか。

借入金返済時
借入金  ○○○円 / 預金 ○○○円
支払利息 ○○○円 / 預金 ○○○円

利子補給受け取り時
預金 ○○○円 / 雑収入 ○○○円(消費税は不課税)

入金のあったときに、雑収入として計上することが必要です。
処理を間違えないように注意してください。
初年度については、支払った利息よりも、受領した利子補給金の方が多くなります。
次年度以降は、支払利息だけが発生し、追加の利子補給金はありません。
(差額が生じた場合を除く)

新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度に係る利子補給金の収益計上時期〔令和3年2月26日追加〕

新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度(以下「特別利子補給制度」といいます。)に係る利子補給金の収益計上時期については、対象となる融資に係る支払利子の発生に合わせて、その発生する支払利子相当額を収益の額として計上することとなります。
法人税の所得金額の計算上、ある収入の収益計上時期については、原則として、その収入すべき権利が確定した日の属する事業年度となります(法人税法22条)ので、通常の利子補給金の収益計上時期についても、原則として、交付決定日の属する事業年度となります。

そのため、特別利子補給制度により最長3年分の支払利子相当額の交付を受けた場合には、その全額が交付決定日の属する事業年度の収益として計上しなければならないのかという疑問が生じます。
しかしながら、この特別利子補給制度は、日本政策金融公庫等の一定の金融機関から融資を受けることを条件に、その融資により発生する支払利子を、最長3年間、実質的に無利子とすることを目的として交付されるものです。
そのため、この特別利子補給制度は、融資契約の変更等により利子相当額が変動した場合には、3年経過後に実際に支払った利子相当額により利子補給額が確定することとされています。したがって、特別利子補給制度においては、交付決定日には利子補給額が確定していないことから、利子補給額に係る収入を受ける権利は確定していないと考えられます。
加えて、3年経過後の実際に支払った利子相当額と利子補給額の精算の手続は金融機関において行うこととされており、法人において実績報告などの手続はありませんので、通常の補助金とは手続き面でも異なる仕組みとなっています。

このようなことから、この特別利子補給制度については、事前に最長3年分の利子相当額の交付を受けるものの、交付を受けた時点では収益として確定せず、支払利子の発生に応じてその発生する支払利子相当額の収益が確定し、無利子化される性質のものと考えられますので、その支払利子(費用)の発生に応じて、その発生する支払利子と同額の収益を計上することとなります。
なお、この場合の会計処理については、交付を受けた利子補給金の額を、一旦前受金等として負債の部に計上し、支払利子の費用処理に合わせて、その支払利子相当額を前受金等から利子補給金収入等の収益の部に振り替えることとなります。税務上の取扱いも同様です。

国税庁:新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/04.htm#q4-7

民間金融機関による実質無利子・無担保融資により受給した保証料補助に関する収益計上時期の取扱い〔令和3年2月26日追加〕

融資を受けた場合に信用保証協会に支払う保証料については、信用保証協会から保証期間における信用の保証という役務提供を受け、その対価として支払うこととなります。
また、保証期間分の保証料の額を最初にまとめて支払うのが通常のようです。
この場合の会計処理は、そのまとめて支払った保証料の額は前払費用として資産の部に計上し、保証期間の経過に応じて、対応する保証料の額を費用の部に振り替えることとなります。税務上の取扱いも同様です。
保証料補助については、信用保証協会に支払う保証料の全額を国が支払うこととなりますので、法人が支払う保証料は生じません。
そのため、法人において特段の会計処理を行う必要はありません。
税務上の取扱いも同様です。
なお、この制度では、保証料の半額を補助する場合もあります。
この場合には、保証料の額の半分を国が支払い、残額を法人が信用保証協会に支払うこととなります。
この場合の会計処理は、その支払った保証料の額(半額相当)を前払保証料等として資産の部に計上し、保証期間の経過に応じて、対応する保証料の額を費用の部に振り替えることとなります。
税務上の取扱いも同様です。

上記の経理処理については、経済産業省のホームページにも掲載されています。
https://www.meti.go.jp/covid-19/shikinguri_keieisyori.html

助成金等の収入計上時期の取扱い〔令和3年1月13日追加〕

所得税の計算上、ある収入の収入計上時期については、その収入すべき権利が確定した日の属する年分となります(所得税法第36条)。
助成金等については、国や地方公共団体により助成金等の支給が決定された日に、収入すべき権利が確定すると考えられますので、原則として、その助成金等の支給決定がされた日の属する年分の収入金額となります。

ただし、助成金等が、支給要綱などで定められた特定の支出(※1)を補填するものについて、その支給を受けるために必要な手続をしているときには、その支出と同時に、実質的に、助成金を受給する権利が確定していると考えられることから、その収入計上時期は、結果として、所得が生じることがないように、その支出が発生した日の属する年分として取り扱うこととしています(所得税基本通達36・37共-48)。

※1 例えば、医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業の補助金におけるマスクや消毒液の購入費用や清掃委託費用などが該当します。

※2 助成金等の交付目的に適合した固定資産の取得等をした場合において、一定の要件を満たすときには、その固定資産の取得等に充てた部分の金額に相当する金額を総収入金額に算入しない(総収入金額不算入)こととされています(所得税法42条・43条)。

(参考)

タックスアンサー(所得税)「No.2202 国庫補助金等を受け取ったとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2202.htm

適用対象

日本政策金融公庫等の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」、「新型コロナウイルス対策マル経融資」若しくは商工中金等による「危機対応融資」により借入を行った中小企業等で、特別貸付等の申込を行った際の最近1ヶ月等、その翌月若しくはその翌々月の売上高又は最近1ヶ月から遡った6ヶ月間の平均売上高と前3年のいずれの年の同期と比較して、以下の要件を満たす方

1:個人事業主(事業性のあるフリーランス含み、小規模に限る):要件なし
2:小規模事業者(法人事業者):売上高△15%減少
3:中小企業者(上記1.2を除く事業者):売上高△20%減少

 

利子補給

期間:借入後当初3年間(最長)
補給対象貸付上限額:中小事業・商工中金等3億円、国民事業6,000万円
※利子補給上限額は新規融資と公庫等の既往債務借換との合計額

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